宝塚歌劇の舞台では出演者が人間ではない何かを演じることが多々ある。
実在する動物だったり、想像上の妖精だったり…すべて「のようなもの」と加えたほうが良いかもしれない。
明日大千穐楽を迎える宙組特別公演「Le Grand Escalier」では、鷹翔千空さんが蛇のようなものを演じている姿がとても印象的だった。
探検家然とした芹香斗亜さんに襲いかかっているのか、はたまた誘惑しているのか、怪しく艶めかしく、顔の造形や舞台化粧と相まって神話に出てくる大蛇はこのようなものかもしれないと思った。
芹香さんの衣装も熟練者というよりはボーイスカウトでコントラストが際立ち、鷹翔さんをより大きく見せていたと感じる。
場面はトップスターの芹香さんを巡って展開し、ふと力強い歌声が聞こえたと思ったら、蛇のような鷹翔さんだったのにまた驚く。
宙組は歌唱力の高い方が多く、さらに近いポジションを演じがちな瑠風輝さんが特にずば抜けているのでこれまで気付かなかったのだろうか。
森の王と呼ぶにふさわしい太く逞しい美声を聞かせてくれた。
フランスから始まり、スペインにアメリカに世界各国を旅する80分の中、無国籍で強く記憶に残る場面を支配していたのは鷹翔千空さんだったと思う。
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