風間柚乃さんに欺かれて

もしかして、ベルサイユのばら 宝塚歌劇団月組

先の週末の観劇譚。

「BLUFF」とは「はったり」という意味らしい。

嘘を表現する言葉は数多あるが「はったり」というと勝負事で相手を負かすときの駆け引きというイメージだ。

心の奥は期待半分、不安半分、冷や冷やニタニタしながら、相手に悟られないよう努めて平静を装い、決着がつけば相手に知られても構わない。

騙されたら潔く敗北を認めて白旗を揚げるのみ。

月組公演「BLUFF」は至る所に巧妙なはったりが仕込まれ、まんまと気持ちよく騙された舞台だった。

作品紹介にあるユーモラスな部分は正塚晴彦先生のニヒルな照れ隠しだろうか。

舌を出して笑っている様子が見えるようだ。

キャストの演技もまた巧い。

主演は風間柚乃さん。

変装にさえすぐに気付かなかったのは私の未熟とはいえ、飄々と2時間のはったりをかまし続けてくれた。

役を演じるということは自分ではない誰かになりきることに他ならない。

宝塚歌劇は女性が男役を演じる点で理想や想像や憧憬に男性とは違った視座があると思っている。

役柄と演技のずれが大きいと不自然さが際立ってしまうが、ぴたりとはまると世界中のどこを探してもいるはずのない偶像が舞台上に出現する。

どんな演目でもピンボケすることなく常に美しい男像を見せてくれる風間さんに今回もあっけなく完敗した。

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