こんな星組は記憶にございません

もしかして、ベルサイユのばら 宝塚歌劇団星組

星組宝塚大劇場公演千秋楽をライブ配信で見た。

巡りあわせが悪くいちども劇場で見ることが叶わなかったのが惜しい。

星組のお芝居は設定の違いはあっても、おおまかな役割分担がいつも似ているように感じる。

今作はことごとく覆されたのが新鮮だった。

何より悪人が出てこない。

強いて言えば輝月ゆうまさん演じる官房長官くらいだが最後にオチがあり(原作は見ていないので分からない)、たいがい嫌らしいほど憎い奴で正義感あふれる礼真琴さんを際立たせる輝咲玲央さんは抜群のコメディエンヌぶりで、あの衣装を宝塚歌劇で使うのも驚きだった。

礼真琴さんは「BIG FISH」のエドワードの延長線上のようで、記憶を失くしているがゆえに純朴で温かくあらためてこうした役も似合うと感じた。

小桜ほのかさんの色気は先日に見た月組「BLUFF」の彩みちるさんと相通じるところがあり大人の女性が似合う貴重な存在で、花組の凛乃しづかさんと合わせて同期三人を艶娘トリオと勝手に名付けている(このあたりは別途掘り下げてみたいと思っている)。

一作ごとに頼れる存在となってくる詩ちづるさん、あまりにスーツ姿が様になっていてこんなセクレタリーがいたら男性は悶絶してしまうだろうと思いきや、同僚の暁千星さんが夢中なのは舞空瞳さん。

さすがに可愛らしさでは敵わないか。

お坊ちゃま役のイメージが強かった極美慎さんのチンピラ風情は新境地開拓でこれからの展開に期待が膨らむ。

女性アメリカ大統領の瑠璃花夏さんは「1789」新人公演でマリーアントワネットを演じただけあり、勝気で美しく……と、まだまだ出てくるが、いちど見ただけなのに思いつくまま挙げても主演クラスから下級生までこれだけ役と名前が結びついて印象に残るのは珍しく、星組の層の厚さとキャスティングの妙だと思う。

礼真琴さんの退団は寂しい、けれどもその先を悲観する理由は見当たらず、パッションは受け継がれていくのだと確信した。

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