宝塚GRAPH10月号を熟読。
これほど一言一句を噛みしめながら読んだことはないと思うほど大切に。
三部構成のサヨナラ特集。
朝美絢さん、夢白あやさんとのてい談は、舞台や稽古での絡みが多いことに加え、三人ともこのような機会に慣れているせいかいつもの空気で肩の力を抜いて楽しめた。
普段こちら側に見えている男役トップスター彩風咲奈さんのイメージのまま、朝美さんと夢白さんの敬いながらも過度に崇めすぎない距離感が心地良い。
上に立つ人間のタイプは様々で、構造的あるいは人的環境によって機能したりしなかったりする。
きっと彩風さんはうまく自身の目線を下ろすことができる方でそこに甘えすぎない朝美さんと夢白さんとの歯車が噛み合っている関係性が垣間見えるようで、彩風さんの言葉を借りるならば「爽やかな気持ち」になった。
そんな彩風さんの器量が伝わるのが次のセルフプロデュース企画で、新人公演の主演を務めた後輩との座談会。
かつて自身がされて嬉しかった同じことをしようと思っていたという気持ちが当人でなくても嬉しい。
4人とも楽しい思い出だけではなかったはずで、華世京さんには彩風さん自身「前々から厳しく言ってきて」と仰っている。
含蓄のある言葉がいくつか出る中、極めつけは今の「ベルサイユのばら」新人公演で主演をなさっている蒼波黎也さんのご家族の「彩風さんのようになってほしい」で、すべてが集約されていると思う。
ご本人のラストインタビューは私が知らない歴史ばかりでも早くから注目を浴びて常に重圧と戦ってきたことは容易に想像できる。
自身の憧れた先輩のDNAを繋いでいく美学を貫いた彩風咲奈さん、最後のメッセージが切ないことこの上ないのだが、言葉や文字よりもはるかに強く美しい舞台姿を間近で見て育った後輩がその後輩に繋いでいくことが何よりの恩返しになるに違いない。
ただのファンでしかない私にできるのは最後まで感謝を込めて温かな拍手を送るのみだ。
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