綺城ひか理さんを忘れない

もしかして、ベルサイユのばら 宝塚歌劇団花組

高身長ですらりとした体躯、張りのあるロングトーン、硬軟自在の演技……個性派男役の言葉が似合う綺城ひか理さんがご卒業される。

一昨日に「GRAND MIRAGE」を見直して「夜の街の幻影」の場面でのリフトにあらためて驚き名前を挙げたばかりだったので、肩を落としてしまったのは事実だ。

酸素のようになくてはならない存在で、ずっといてくれるものとばかり身勝手に思い込んでいた。

娘の可愛さ余って小賢しく立ち回る家臣を演じた「鴛鴦歌合戦」。

道具屋でお春の父親を見つけひとり策略を思い立ち、仕上げにかかるところを失敗した挙句「おつむが禿げますぞ」と小馬鹿にされ「忘れるな」と見得を切るようにして立ち去る場面は芸達者ぶりが光った。

「アルカンシェル」の祖国を愛しながら恋敵への嫉妬から敵国に寝返り最後は自ら身勝手な上官を撃つことで戦いを終わらせるジョルジュ。

「パリを治めているのはドイツなんだ、忘れるな」と吐き捨てたのは、フランスを思う内心の自己矛盾の叫びだったと思う。

ラストシーンで板挟みから解放され泣き崩れる場面は見ている私が泣かされた。

芝居巧者の輝月ゆうまさん演じるコンラートの死に様に勝るとも劣らない迫真の演技で間違いなくハイライトのひとつだった。

最後の作品、二幕のレヴューを手掛けるのは稲葉太地先生だ。

万感の思いを込めた餞の場面を用意してくれるに違いない。

涙の種はもう蒔かれている。

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました