芹香斗亜さんの線香花火

もしかして、ベルサイユのばら 宝塚歌劇団宙組

ようやく宙組特別公演「Le Grand Escalier」を振り返る余裕が出来た矢先の退団発表でまた立ち止まってしまった。

宝塚歌劇の魅力のひとつに刹那の美学がある。

ほとんどのタカラジェンヌはいつか退団する。

10代後半で入団し平均在籍期間が10年にも満たないとすれば、20代の煌めきを切り取った姿が宝塚歌劇と言えよう。

おそらく誰しもトップスターに憧れ夢見て入団し、多くはその座に就くことはできない。

トップスターとは違う存在意義を見出し適役に出会えるだけでも十分に恵まれた者で、それ以前に志半ばで大劇場を去る方が多数だ。

そこに悔いがないはずはないと思う。

トップスターとて同じだろう。

芹香さんの言葉に「芸の道に明確なゴールはありません」とあるように。

思い残すことなくやり切ったというのは美辞麗句で、あれもこれもやりたかった、もっと出来たかもしれないというのが本音ではなかろうか。

後悔のひとつもない舞台人に観客の心を動かすことなどできない。

私はタカラジェンヌに線香花火を見る心持ちでいる。

火花が眩しく光る絶頂でまだ柄が残っているのにぽたりと落ちてしまったり、ぎりぎりまで姿を変えながら燃え続け美しい余韻を残して消えたり。

芹香斗亜さんという線香花火は最後にどんな輝きを見せてくれるだろうか。

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