ベルサイユのばらと七人の侍と

もしかして、ベルサイユのばら 宝塚歌劇団雪組

宝塚歌劇団と言えばベルサイユのばら、ベルサイユのばらと言えば宝塚歌劇団。

原作の漫画に馴染みのない私の固定観念だ。

初めて生で体験するベルサイユのばらの舞台、豪華絢爛な衣装や装置はこれぞ宝塚歌劇団、普段着の自分がいささか場違いにすら感じながら観劇した。

本作は雪組男役トップスター彩風咲奈さんの退団公演であり役どころはフェルゼン。

果たして見事だった。

凛とした佇まい、知性と気品をまとった立ち姿は真骨頂だと思う。

終演後の余韻に浸る中、ふと映画「七人の侍」で志村喬さん演ずる勘兵衛が頭に浮かんだ。

野武士と戦う農民の大将であり、様々な背景を持つ一癖も二癖もある侍をまとめ率いて勝利する。

無論フェルゼンはフランス革命で戦うわけではないが、最後に生き残るひとりでもある。

「人を守ってこそ自分も守れる。己のことばかり考えるやつは己をも滅ぼすやつだ!」

映画を代表する勘兵衛屈指の名台詞は、彩風さんなら等しく説得力を持ちそうだ。

妄想は止まらない。

三船敏郎さん演ずる菊千代は縣千さんのアンドレであろうか。

菊千代の生まれは農民、アンドレも平民。

何より型破りな役は縣さんに絶対に似合うと思う。

朝美絢さんのオスカルは宮口精二さん演ずる久蔵を想起させる。

久蔵は男装の麗人ではないが、剣は滅法強いのに多くを語らず、浪人になった背景に何か秘めたものがあるはずだ。

ベルナールの若々しい好演が光った華世京さんには木村功さん演ずる勝四郎。

育ちの良さそうな最若手の侍で純朴な心を持っている。

はて、いつか日本が世界に誇る名画「七人の侍」を宝塚歌劇団でリメイクできないだろうか?

個性ある役どころが多く人物造形が多様で、男役の群像劇として面白い演目になりそうな気がするのだが……。

そんなことを考えながら花のみちを歩いた。

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